結露対策には、空気中の水蒸気の量と温度がキーワードになってくるのですが、もう一つ、水蒸気の性質を考える必要があります。私たちは暖房したときに、部屋同士が簡単にふすまでさえぎられている程度でも、隣の部屋が暖まらないということを体験的に知っています。仕切りがあると、暖まった空気は伝わっていかないのです。そんなことから、湿度(水蒸気)も、温度と同じように室外には伝わらないように思いがちです。しかし、水蒸気はその粒子がたいへん小さく、しかも、圧力(水蒸気圧)を持った気体です。その圧力の強さは、水を一〇〇℃に熱すると、そこから発生する水蒸気は、重い機関車を動かすほどの圧力を持っていることからも想像できるでしょう。ですから、ドアやふすまを締め切った程度では、水蒸気は自由に隣の部屋に侵入していくのです。すき間があればもちろんのこと、すき間がなくても、木材の木目などは簡単に通過してしまうのが、水蒸気なのです。水蒸気の大きさは、その直径が三・五オークストローム(Å一一〇のマイナス八乗)というひじょうに小さなものです。大きさを一〇〇メートルに拡大した場合、一オークストロームがやっと一ミリになるということからも、水蒸気の三・五オークストロームという大きさがおわかりいただけるでしょう。わずか一ミリのすき間でも、水蒸気から見ると、広大なスペースなのです。最近では、ゴアテックスのように水をはじくけれども、着ていて蒸れないという素材があります。これは、水の分子は水蒸気の分子の数千倍の大きさがあるので、水の分子は通れないが、水蒸気は通り抜けられるという程度のすき聞かある繊維です。ですから、雨水は通しませんが、体から発散される水蒸気は外に逃がしてくれるので、着ていて蒸れないのです。このことからもわかるように、「水がしみ込まない」(防水性)ことと、「水蒸気が発散される」(透湿性)ことは、まったく別のことです。水蒸気が通れないところは、水は絶対に通れませんが、その逆は真ではないのです。この、水がしみ込まなくても、水蒸気は自由に出入りできるということが、ひじょうにやっかいな点なのです。
[参考]
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