古い時代の技術だからといって、何でも欠陥があるとは限らない。その証拠に、どの時代の歴史にも五重塔が地震で倒壊した記録はない。それは、現代のハイテク技術に通じる様々なワザによって構成されているからである。では、それは一体どういうものか。木材は建物が建った後も生きている。部材の大きさや使用部分により異なるが、長さに違いが出てくるのだ。これを乾燥収縮と呼んでいるが、とくに五重塔の外周の部材と中心の芯となる材(心柱)との差は大きい。外周部は多くの細かい部材を継ぎ足しているので、接合部分が少しずつ長い時間をかけて縮む。ところが中心部は室内にあるので乾燥が遅く、しかも心柱となる柱が太いためにほとんど縮まない。そこで外部と内部に歪みが生じ、中心部に建物を突き破るような力が働くのだ。これを防止するために、中心の柱は地面から数十センチのところで切断して、握り拳ぐらいの隙間を空けている。それでは、なぜ離れていても倒れないのだろうか。一般的に考えたならば、柱が地面から離れているのに倒れないというのはおかしい。それは五重塔の特徴的な構造によるからである。
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